VPNルータとは?仕組みや接続方法、おすすめのルータなどを徹底解説

VPNルータとは?仕組みや接続方法、おすすめのルータなどを徹底解説

VPNルータを使用すると、匿名かつ暗号化されたセキュリティの高い通信が可能になります。とはいえ、VPNルータは必要なのか、何を選んだら良いのかわからないという方は多いのではないでしょうか。

今回は、VPNルータの基本情報や導入のメリット、選び方、おすすめのVPNルータなどについて紹介します。実際の導入方法や注意点などについてもお話ししますので、ぜひ最後まで記事をご覧ください。

目次

VPNルータとは?わかりやすく解説します!

VPNルータとは、VPN機能を持っているルータのことであり、VPNソフトウェアをインストールすると専用のルータとして使えるようになります。

VPNルータを設置すると、場所を問わずに自宅や会社のネット環境が使えたり、国内外のあらゆる場所でさまざまなコンテンツが利用できたりすることが特徴です。ここでは、VPNやVPNルータの基本情報について詳しく確認していきましょう。

VPNとは

VPN(Virtual Private Network)とは、仮想の通信網を意味し、ネットワークを利用してプライベートの通信網が構築できるインターネットVPNが話題になっています。インターネットVPNを使用することで専用線よりも安全なネット通信が行えるため、特定の人のみが利用できる仮想の専用線での通信が可能です。

物理的な専用線よりもコストパフォーマンスが高く、リモートワーカーなどが多く利用しています。

2種類のVPN

VPNには主に「インターネットVPN」と「IP-VPN」が存在し、それぞれでネットワークの仕組みが異なります。

まず「インターネットVPN」とは、トンネリングやカプセル化の仕組みを利用し、プライベートの閉鎖された通信が可能になります。続いて「IP-VPN」とは、仮想ネットワークを利用しているVPNのことであり、通信事業者と契約したユーザーだけが使えるバックボーン回線です。

それぞれによって繋がりやすさや構築の手間、費用などが異なります。基本的にはインターネットVPNは手軽にVPN環境が欲しい方、IP-VPNは大量のデータも高速で安全性高く通信したい方におすすめといえます。

VPNルータの仕組み

VPNを使った通信は仮想化技術とセキュリティ技術によって実現しており、「トンネリング」「カプセル化」「暗号化」がポイントです。それぞれについての簡単な説明は、以下の通りです。

  • トンネリング:回線(トンネル)を成立させている技術
  • カプセル化:データの性質や状態を外部から隠すための技術
  • 暗号化:データが漏洩した際に解読できないようにするための技術

これらの技術が合わさってVPNサービスが実現しているため、VPN接続は高いセキュリティ効果が期待できます。専用線よりも手軽に、フリーWi-Fiよりも高い安全性の通信が可能です。

コストを抑えてセキュリティレベルの高い通信が行えるため、VPNによる通信方式は昨今においてリモートワークなどで活用されています。

VPNルータの価格

VPNルータの価格は種類によって異なりますが、一般的に手軽に導入できるインターネットVPNは比較的安く、通信事業者による開通工事が必要なIP-VPNに関しては料金が高くなる傾向にあります。

ルータの購入と設定のみで開通できるインターネットVPNの場合は2万円から5万円程度が相場となっていますが、IP-VPNはそれに加えて月額料金が発生するため、全体的にコストが高くなります。

IP-VPNは初期費用が3万円ほどかかるうえ、1ヶ月あたり5,000円から5万円の使用量が発生するようです。また、オフィス向けのVPNルータであれば数十万円から50万円ほどの価格帯になり、さらに大規模なネットワークを構築する場合は50万円から100万円ほどの費用が発生します。

契約するプランによって大幅に料金が異なるため、詳しくは各VPNサービスの公式サイトなどを確認するようにしましょう。

VPNルータを自宅に導入するメリット

VPNルータを自宅に導入するメリットとしては、次の4つが挙げられます。

  • 安定したVPN接続が行える
  • セキュリティ強度と通信速度を選べる
  • 価格が安い
  • 海外のコンテンツを楽しめる

VPNにはさまざまなメリットがあり、安全性の高い通信が実現するのとともにインターネットの利便性を高めることができます。それぞれについて内容を詳しく解説しますので、一つずつ確認していきましょう。

安定したVPN接続が行える

VPNルータを自宅に導入することで、より安定したVPN接続が行えるようになります。

公共のWi-Fiで安全性の高い通信を行う手段として活用されることが多いVPNですが、在宅での作業環境を狙ったサイバー犯罪が増えているため、家のWi-Fiだから安全とは限りません。そこで、自宅にVPNルータを導入することで自宅でも安全にデジタルデバイスを利用できるでしょう。

日常的にオンラインサービスの利用が増えた昨今において、VPNの必要性は高まっています。

セキュリティ強度と通信速度を選べる

VPNサーバにはさまざまな種類があり、自分の目的に合わせたセキュリティ強度と通信速度を選べます。スペックが上がればその分費用は高くなる傾向にありますが、必要な分のセキュリティ強度と通信速度が選べるのは大きなメリットです。

セキュリティ面においては、暗号化の方式で採用されている「256ビットAES」というものが最も強力な性能を持っており、プロトコルについては「OpenVPN」を採用しているものが安全性が高くなっています。

価格が安い

VPNは仮想の通信線になるため、専用線と比較してサーバーの構築費用を抑えられます。

よりセキュリティ性能の高い閉鎖ネットワークを利用する「IP-VPN」でも専用線よりコストは低くなり、構築に手間のかからない「インターネットVPN」であれば、さらに費用を抑えることが可能です。

コストを抑えつつセキュリティレベルの高い通信が行えるため、家庭へのVPNサーバを導入する人は増えています。

海外のコンテンツを楽しめる

VPNを使うことで、日本にいながら海外のコンテンツを試聴することができます。また、海外から日本のサイトへアクセスすることも可能です。

VPNを提供し値得る会社は世界中にサーバを置いており、VPNでは暗号化された通信が可能になるため、国内外を問わずさまざまなコンテンツが楽しめます。

海外のコンテンツ例として、NetflixやHuluでは著作権の関係により、海外では視聴できるコンテンツが日本では視聴できないことがあります。このような場合においても、VPNを利用すると海外のコンテンツが視聴できるようになるのです。

VPNルータの選び方とは?

ここでは、VPNルータの選び方として以下の3つのポイントを紹介します。

  • セキュリティ機能がしっかりしているか
  • 新しいプロトコルに対応しているか
  • VPNの利用方法に必要な機能があるか

VPNサービスには種類が多いため、自分の利用環境や利用目的に合わせたものを選ぶことが大切です。それぞれのポイントについて詳しく解説しますので、一つずつ確認していきましょう。

セキュリティ機能がしっかりしているか

VPNルータを選ぶ時は、まずはセキュリティ機能がしっかりしているかを確認しなければなりません。ルータの種類によってセキュリティのレベルやファイアウォールなどの機能が異なるため、利用目的に合わせたものを選ぶ必要があります。

備わっていると安心できるセキュリティ機能としては、ファイアウォール機能のほかに「IDS・IPS(不正侵入検知・防止システム)」「プロキシ機能」「リモートアクセス機能」「アンチウイルス・アンチスパム機能」などを参考にしてみてください。

新しいプロトコルに対応しているか

セキュリティ面や性能面において、新しいプロトコルに対応しているルーターを選ぶこともポイントの一つです。

現時点において推奨されているプロトコルは「Open VPN」や「L2TP/IPsec」であり、これらのプロトコルであれば十分なセキュリティ性能が期待できます。

「Open VPN」や「L2TP/IPsec」について、代表的なメーカーの対応状況をまとめましたので参考にしてみてください。

メーカー名Open VPNL2TP/IPsec
ASUS
Synology
TP-Link法人向け製品のみ対応
NETGEAR×
PLANEX有線のみ対応優先のみ対応
I-O DATA法人向け製品のみ対応
NEC××
EMECOM××
BUFFALO×
YAMAHA×

VPNの利用に必要な機能があるか

VPNを利用する目的を満たせる機能があるかについても、事前に確認しておく必要があります。

VPNサーバを選ぶうえで、以下のような機能がついているものがおすすめです。

  • VPNサーバー機能:VPNサーバーサーバーの構築機能
  • VPNパススルー機能:VPNトラフィックがブロックなく移動できる機能
  • 拠点間接続機能:東京と大阪などのような拠点同士を接続する機能

VPNルータを自宅に導入する方法とは?

ここからは、VPNルータを自宅に導入する方法について紹介していきます。

自分でVPNを設定する方法は難しくないため、手順を参考にやり方を確認してみてください。

必要なもの

VPNルータを自宅に導入する際は、以下のアイテムが必要です。

  • 日本のプロバイダー契約
  • パソコンやスマートフォン(設定に使う)
  • 専用のVPNルータ

VPNに対応しているルータを用意する必要があるため、後述するおすすめVPNルータを参考に準備しておきましょう。

基本的にはこの3つが揃ったらVPNの設定が行えるため、次に紹介する手順をもとに、VPNルータを設定していきます。

VPNルータの設定方法

VPNに対応しているルータが用意できたら、次の手順で設定を進めていきましょう。

Windowsの場合

  1. 「設定→ネットワークとインターネット→VPN→VPNを追加する」を選択
  2. 「VPNプロバイダー」をクリックし「Windows」を選択
  3. 「接続名」を任意で設定し「サーバー名またはアドレス」にIPアドレスを入力
  4. 「VPNの種類」にて該当の接続方法を選択
  5. 「サインイン情報の種類」で該当の項目を選択
  6. 「保存」を押して設定は完了
  7. タスクバーのネットワークアイコンをクリック
  8. 「接続名」で入力したVPN接続を選択し、接続完了

Macの場合

  1. 「システム環境設定→ネットワーク」を選択
  2. 「追加ボタン」をクリック
  3. 「インターフェイス」ではVPN、「VPNタイプ」では該当のものを選択
  4. 「サービス名」を任意で設定
  5. 「サーバーアドレス」にIPアドレス、「アカウント名」にアカウント名を入力
  6. 「認証設定」をクリックし、必要な情報を入力
  7. 「メニューバーにVPNの状況を表示」にチェックし、「適用→OK」をクリック
  8. メニューバーからVPNアイコンをクリックして「接続」を選択し、接続完了

それぞれ難しい手順ではないため、VPNサーバが用意でき次第設定していきましょう。

VPNルータを導入する場合の注意点

ここでは、VPNルータを導入する際の注意点として「管理スキルが必要」「セキュリティに注意」の2つを紹介します。

使いこなせれば便利なVPNですが、知識がないまま使用するとリスクもあるため、ここでポイントを確認しておきましょう。

管理スキルが必要

VPNルータの導入は、VPNに対応している物に置き換えて簡単な設定で行えますが、ルータの管理は自分で行わなければなりません。

もし企業でVPNルータを導入する際は、IP-VPNを導入してトラブル時の対応をベンダーに任せるという方法もあります。自宅などで利用する場合はあまり関係がないかもしれませんが、拠点数が増えるとその分の管理労力が必要になることを覚えておきましょう。

セキュリティに注意

VPNルータを利用してインターネット通信を行っていても、必ずしもセキュリティ面において安全とは言い切れません。

トンネリングや暗号化によりデータの覗き見や改ざんなどはある程度防げますが、専用線に近いIP-VPNほどのセキュリティ効果はないといえます。VPNルータを導入する際は、セキュリティ面においてもよく検討してから決めるようにしましょう。

VPN対応ルータのおすすめ5選

最後に、VPNに対応しているおすすめのルータについて、以下の5種類を紹介します。

  • BUFFALO VR-S1000
  • YAMAHA RTX830
  • ASUS RT-AX3000
  • Cisco C841M-4X-JSEC/K9
  • WA2612-AP

それぞれについて特徴をお話ししますので、どのようなVPN対応ルータを選ぶか検討してみてください。

BUFFALO VR-S1000

PCやスマートフォンの周辺機器メーカーとして有名なBAFFALOでは、VPN対応ルータとして「BUFFALO VR-S1000」がリリースされています。

BUFFALO VR-S1000は法人向けのルータでしたが、現在は小規模向けのVPNルータとして購入しやすくなっています。

BUFFALO VR-S1000の特徴は、以下の通りです。

  • IPsecとPPTPの2種類のプロトコルに対応
  • 外出先からアクセスできる「L2TP over IPsec」に対応
  • IPsec環境で100Mbpsの高速スループットを実現
  • 同時に最大10台のクライアントに接続可能
  • QoS(Quality of Service)機能搭載により安定した通信が可能

YAMAHA RTX830

バイクや楽器のメーカーとして有名なYAMAHAでは、ネットワーク機器においても高い評価を受けています。「YAMAHA RTX830」は、小規模〜中規模向けのルータを探している方におすすめです。

YAMAHA RTX830は稼働の安定性が特徴であり、トラブル時のサポートも充実しているため安心して利用できます。

YAMAHA RTX830の特徴について、以下にまとめました。

  • マルチポイントトンネル機能で複数拠点の設定が簡単に
  • 最新のLANマップ機能によっていち早くトラブルを発見できる
  • USBシリアルによるコンソール接続に対応
  • クラウド接続の簡単設定に対応
  • YNO (Yamaha Network Organizer) との連携で遠隔管理に対応

ASUS RT-AX3000

ASUSはネットワークやPC周辺機器のベンダーとして、台湾を拠点に活動しています。「ASUS RT-AX3000」は中小企業から家庭用に最適なVPN対応ルータであり、3階建ての戸建てや4LDKのマンションなどでも快適に利用できます。

ASUS RT-AX3000はOpenVPNにも対応しているため、よりセキュリティレベルの高い高速通信が可能です。

ASUS RT-AX3000の特徴については、次の通りです。

  • 最新の規格であるWiFi6に対応
  • 最大接続台数は64台
  • 最大速度は約3,000Mbps(2.4GHz帯域で574 Mbps、5GHz帯域で2402 Mbps)
  • トレンドマイクロの「AiProtection」ネットワークセキュリティ機能
  • メッシュWi-Fiシステム機能「AiMesh」搭載

Cisco C841M-4X-JSEC/K9

Cisco(シスコ)は世界最大のネットワーク機器ベンダーとしてアメリカを拠点としており、国内のネットワーク市場において48.1%ものシェアを獲得しています。(2021年時点)

Cisco C841M-4X-JSEC/K9は、ネットワーク機器ブランド「Cisco Start」より展開されている製品であり、日本語化と低価格を実現したVPN対応ルータです。

Cisco C841M-4X-JSEC/K9について、以下に特徴をまとめました。

  • 日本語設定に対応
  • ネットワークを可視化させる「Cisco Configuration Professional Express」に対応
  • ネットワーク管理をカスタマイズ・自動化させる「Cisco EEM」に対応
  • Webサイトからのウイルスやマルウェア感染の防御に対応

参照:https://it.impress.co.jp/articles/-/23426

WA2612-AP

日本電気株式会社がリリースしている「WA2612-AP」では、無線LANルータ機能とVPNルータ機能が内蔵されており、1台でVPN接続が可能です。

WA2612-APは、ワイヤレス接続だけでなく有線ポートも5ポートあり、状況に応じて安定した通信が行えるでしょう。

WA2612-APの特徴については、以下の通りです。

  • ワイヤレスVPNルータの「オールインワンモデル」
  • LTEモジュール内蔵により各MVNO事業者が提供するSIMが利用可能
  • 無線LANアクセスポイント内蔵により拠点の無線LAN化を実現
  • L2TP/IPsecに対応

VPNルータについてのまとめ

今回は、VPNルータの仕組みや導入のメリット、設定方法、おすすめのVPN対応サーバなどについて紹介しました。

VPNルータを導入することで、低コストでセキュリティレベルの高い通信が可能になり、気軽にVPN環境が構築できます。利用環境に合わせて適したVPNルータを選んでみてください。

この記事を書いた人

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