一昔前は、Webマーケティング業界はブラック企業が多かったです。ただ、労働時間の改善などがあり、現在ではブラック企業が減ってきました。ただ、現在でもブラック企業は存在します。
なのでこの記事では、ブラックなWebマーケティング会社を見分けるコツを8つご紹介。また、ホワイトなWebマーケティング会社に入社するコツも紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
さらに、ブラックなWebマーケティング会社に入社してしまった場合、どんな対処をしたらいいかについてもお話ししていきます。現在ブラック企業に勤めて悩んでいる方は、この記事を読んで対策を立てましょう。
ブラック企業とは
ブラック企業がどういったものかについては、厚生労働省のHPに下記のように記載されていました。
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
出典:厚生労働省
上記の項目が複数当てはまる会社は、ブラック企業と言えるでしょう。労働者に長時間労働やきついノルマを課し、その見返りもない企業は劣悪な労働環境と言えます。
Webマーケティング会社はブラック企業ばかり?
Webマーケティング業界は、一昔前、ブラック企業が多かったです。それに伴い、2015年にはある事件が起こりました。ただ、現在では労働時間の見直しがされているので、そういった点についてこれからお話していきます。
過去はブラックだった!電通の女性新入社員自殺事件
Webマーケティング業界は2000年代から伸び始め、当時の労働環境は劣悪なものでした。そして、広告業界大手である「電通」である事件が起こります。
入社1年目の電通社員高橋まつりさん(当時24)が、過労自殺に追い込まれた。その死は電通だけでなく、私たちの働き方、日本社会も大きく揺さぶっている。
2014年の春、当時東京大学文学部の4年生だった高橋まつりさんは、広告大手、電通の内定を決め、SNSで知人にこう報告した。
「マスコミ関係の仕事であること、職種の異動があり出来ることの幅が広いこと、新しいコンテンツをつくりだしていけること…などを重視して選びました」
そんな希望を語っていたわずか1年半後の15年12月25日金曜日、高橋さんは都内にある電通の女子寮4階の手すりを乗り越えて飛び降り、亡くなった。今年9月、三田労働基準監督署は高橋さんの自殺は長時間の過重労働が原因として労災を認定。
当時、彼女はインターネット広告を担当する部署に所属していた。試用期間後に正社員になると、10月以降1カ月の時間外労働が労基署認定分だけでも約105時間に。過労死ラインとされる80時間を大きく上回った。母親の幸美さんは今月の記者会見で、「労災認定されても娘は戻ってこない」と訴えた。
出典:AERA dot.
上記のような事件が、今後起こらないことを祈るばかりです。
現在は労働時間の改善が進みホワイト化している
現在では、厚生労働省の働き方改革の影響もあり、労働時間の改善がなされています。
下記は、労働基準法の改正内容です。
<時間外労働の上限規制の導入>
○ 時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を
原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、
単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間
(休日労働含む)を限度に設定する。
<一定日数の年次有給休暇の確実な取得>
○ 使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労
働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えな
ければならないこととする。
○ 年次有給休暇の取得状況の把握のため、年次有給休
暇管理簿を作成しなければならないこととする。※適用日 平成31年4月1日
出典:厚生労働省
Webマーケティング業界は、上記のような決まりもありホワイト化してきています。ただ、未だにブラック企業は存在するので、十分注意しましょう。
ブラックなWebマーケティング会社を見分ける8つのコツ
ブラックなWebマーケティング会社を見分けるコツについて、下記の順で8つ紹介していきます。
- 仕事は何人体制で行われているか
- 自社サービスを提供しているか
- どのようにして案件を獲得しているか
- 会社の規模はどれぐらいか
- 給料は高すぎないか
- 採用人数は多すぎないか
- パワハラや怒鳴り声が日常茶飯事になっていないか
- 悪い口コミが流れていないか
上記を順に詳しく見ていきましょう。
仕事は何人体制で行われているか
Webマーケティングの仕事は、基本的に複数人体制で仕事を行います。クライアントへのヒアリングやプレゼン、データ分析などは、それぞれが分担して行うものです。
サイトを制作するのであれば、5~6人体制で制作やデザイナー、ライターなどと分業してサイト制作に取りかかります。ブラック企業の場合だと業務にあたる人数が少なく、一人ひとりの作業量が多くなってしまうので、必然的に仕事は激務化します。
自社サービスを提供しているか
ブラックなWebマーケティング会社かを見極めるには、自社サービスを提供しており、市場を独占しているかも確認して下さい。自社サービスを提供している企業なら、40%以上で利益を得られます。
また、市場を独占していれば高額の広告料や手数料を取れるので、売り上げは上がります。業績が好調な企業はホワイトである場合が多いので、自社サービスを提供しているかチェックしてみましょう。
どのようにして案件を獲得しているか
ブラックなWebマーケティング会社を見極める3つ目の方法は、どのような方法で案件を獲得しているかです。一番気を付けなければならないのが、テレアポ(※テレフォンアポインター:通信販売や訪問販売において、電話による勧誘や注文受付を行う)をメインに案件を獲得している企業です。
業績が好調の企業なら、自社メディアで集客が行え、問い合わせも多くなります。また、信頼のある企業ならお客様や知人からの紹介で、案件を獲得している企業が多いです。テレアポがメインで集客を行っている企業は、業績が不調である証でもあるので、ブラック企業である可能性が高くなります。
会社の規模はどれぐらいか
ブラックなWebマーケティング会社であるかないかは、会社の規模でも調べられます。検索窓に会社名を入力して、一番上に表示される企業は信頼できる企業です。
また、下記のように会社の詳細な情報が記載されている場合も、信頼できる企業と言えます。
ブラック企業に入ってしまわないためにも、一度は検索してみてください。ほかにも、年商から企業の規模を図るのも可能です。年商が10億円以上ある企業なら実力がある会社なので、ブラック企業であるリスクは低くなります。
給料は高すぎないか
給料が高すぎるWebマーケティング会社は、ブラック企業の可能性が高いです。給与が高いと「みなし残業」が含まれているケースが多く、残業代を含めての給与となります。たとえば「基本給+月40時間分の残業代」のようなものです。
残業がたくさんある企業では、深夜まで働かされるケースもあるので、注意しなくてはなりません。また、給与が高いと無茶なノルマを課せられる場合もあります。給与が高い会社はそれなりの理由があるので、注意しましょう。
採用人数は多すぎないか
中小規模のWebマーケティング会社で、複数人の求人を出している場合も注意が必要です。Webマーケターを複数人応募するのは、大企業なら考えられますが、中小企業ではまず考えにくいです。小規模の会社で採用人数が多いのは、辞めていく人が多く人手が足りていない可能性があります。
また、長期間求人応募が出ている場合も注意が必要です。長期間求人が出ているのは、人が集まらない裏付けとも取れます。1年以上求人を出している企業は、ブラック企業である可能性が高いので、気を付けるようにしましょう。
パワハラや怒鳴り声が日常茶飯事になっていないか
パワハラや怒鳴り声が飛び交う職場は、ほぼブラック企業です。相手の言い分が正しくても、怒鳴られたことで委縮してミスを繰り返したり、最悪の場合うつ病になる人もいます。さらに、人前で怒鳴れば職場のモラルに反します。
近年では、怒鳴られているのが他人でも、怒鳴り声を聞くたびに頭痛や腹痛など、体の不調を感じている人も。自分の身を守るためにも、パワハラや怒鳴り声が日常茶飯事になっている会社からは、一刻も早く逃げましょう。
悪い口コミが流れていないか
ブラックなWebマーケティング会社であるかを見極めるには、実際に現場で働いている人の口コミを参考にしましょう。
近年は、会社の口コミをチェックできる下記のようなサイトがあります。
実際に働いている人の生の声が聞けるので、とても参考になるでしょう。ただ、会社に対して一言言いたい人やすでに会社を辞めた人の口コミが多いので、ネガティブな内容が多いです。
なので、そういった点も踏まえながら参考程度にすると良いでしょう。
ホワイトなWebマーケティング会社へ入社する3つのコツ
ホワイトWebマーケティング会社に入社するコツについて、下記の順で解説していきます。
- スキルを身につける
- 応募先の企業を入念に調べる
- 面接時に労働条件をチェックする
- 転職エージェントを利用する
上記を一つずつ見ていきましょう。
スキルを身につける
Webマーケティングのスキルや知識を身に付けると、ホワイト企業に入社しやすくなるでしょう。Webマーケティングでは、SEOや広告運用などの知識が求められます。また、マーケティング手法や専門用語への理解も必要です。
ただ、必要となる知識やスキルは、年代によって変わってきます。20代の方なら企業側も低コストでの採用を考えているので、多少の知識があれば就職は難しくないでしょう。しかし、30代~40代になると、ある程度の実績がないと転職は難しいです。
例えば、次のような実績があれば、企業に優遇されます。
- 自分のブログで月間30万PV以上
- Twitterのフォロワー数2000人以上
- Webマーケティングスクール受講済み
上記のような実績があれば、30代~40代でも転職しやすくなります。
応募先の企業を入念に調べる
ホワイトなWebマーケティング会社に入社するには、自分が応募しようとしている企業を入念に調べましょう。様々な情報を入手し見比べることで、より良い条件の企業に入社できます。確認するのは、次のような項目です。
- 会社のHP
- 自社サービスの有無
- 会社の規模
- 採用人数
- 離職率
- 口コミ
- 他社との比較
- 転職エージェントや業界人への調査
- 働いている人から聞く
上記すべてを調べるのは手間がかかりますが、調べる項目が多いほどホワイト企業に就職できる可能性は高まります。
上記の中でも、働いている人から聞くのは有効な方法です。実際に働いている人からは外部情報では知りえない、人間関係の話や労働環境の話が聞けるので、とても参考になるでしょう。
面接時に労働条件をチェックする
ホワイトなWebマーケティング会社に入社するには、面接時に労働条件をチェックしましょう。労働条件は、企業の採用ページや求人票にも掲載されていますが、好評のデータとは異なる場合があります。また、配属される部署によって残業時間は異なります。なので、労働条件は面接時にしっかり確認しておかなければなりません。
ただ、面接時にいきなり「残業はどれぐらいありますか?」などと聞くのはNGです。「この人は残業してくれない人なのかな」など思われてしまうので、初めは通常通りの質疑応答を行いましょう。そして、面接終了間際に一日の仕事の流れや休日はどれぐらいあるのか、忙しい時期などを聞くようにしてください。
転職エージェントを利用する
ホワイトなWebマーケティング会社に就職するには、転職エージェントを利用する方法もあります。転職エージェントは、企業の残業時間や離職率などの、Webマーケティング会社の内情に詳しいです。なので、転職エージェントを利用すれば、転職活動の助けになってくれるでしょう。
Webマーケティング関連を取り扱っている転職エージェントは、次のようなものがあります。
- 総合型:ワークポート
- 総合型:リクルートエージェント
- 特化型:マスメディアン
- 特化型:レバテックキャリア
転職エージェントは、保有している求人や得意分野があるので、2~3社複数登録しておきましょう。
ブラック企業のWebマーケティング会社に入ってしまった場合
ブラック企業に入ってしまったら、早く辞めるのが一番の解決策です。しかし、生活のことがありすぐには辞められない人も多く、会社が辞めさせてくれないケースもあるでしょう。そういった場合の対処法についてお話していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
できるだけ早く退職する
ブラックなWebマーケティング会社に入社してしまったら、できるだけ早く辞めるのをおすすめします。我慢してもいつか限界が来て、メンタルや体調を崩してしまいます。中小企業なら人事異動などで上司が変わる見込みも少ないので、自分から行動を起こさないと状況は変わらないでしょう。
ただ、生活のこともあり、なかなかすぐにはやめられないのが現実です。そういった場合は、友人や知り合いに相談すれば心の支えになりますし、転職先を探せば希望が持てるようになります。また、転職先は前述した通り転職エージェントを利用することで、比較的スムーズに次の職に就くことができます。
残業代を請求する
ブラック企業に入ってしまったら、残業代を請求しましょう。下記のサイトでは、以下のように記されています。
所定の就業時間を超えて労働した場合、1日8時間を超えて労働した場合、1週間に40時間以上労働した場合であるにも関わらず、通常の賃金に加えて別途残業代が支払われていない場合には、残業代を請求することができる可能性があります。
残業代を請求する場合には、タイムカードやパソコンのログイン・ログオフの時間など、何らかの証拠に基づいてご自身の労働時間を立証する必要があります。証拠がなさそうな場合には、働いているうちに何らかの手立てをとることが必要かもしれません。
出典:【全国版】ブラック企業の特徴リスト〜入社してしまった場合の対処法
残業代の計算方法は、次のように行います。
時給(1時間あたりの賃金)×1.25(割増率)×残業時間
時給がわからない場合は、1ヶ月の賃金÷(1日の所定労働時間×1ヶ月の勤務日数)で時給が割り出せます。ブラック企業に勤めていれば精神的にも肉体的にも大変ですが、労働に見合った収入があれば気休めにはなるでしょう。
まとめ
ブラックなWebマーケティング会社かどうかを見極めるには、仕事は何人体制で行われているかや、自社サービスを提供しているかなどをチェックしなければなりません。また、応募する前に会社の規模を調べたり、どれぐらいの給与で募集しているかをチェックすると、ブラック企業に当たる確率が低くなります。
ホワイト企業に入社したいのであれば、そういった事前のリサーチが必要です。また、転職エージェントを利用すると、より条件の良い企業を紹介してもらえるので、ぜひ利用してみてください。
ブラック企業に入ってしまった場合は、できるだけ早く退職するようにし、転職先を探しましょう。