「バーチャルオフィスの利用を検討しているが、どの会社を選ぶべきか分からない」「違法だと聞いたことがあるが、実際どうなんだろう?」と悩む方もいるのではないでしょうか。
本記事では、バーチャルオフィスの概要や選び方のポイント、おすすめのバーチャルオフィスについて紹介します。信頼できるバーチャルオフィスを利用したい方は、ぜひ参考にしてください。
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、住所や電話番号を借りることができるオフィスを指します。主なサービスとして「登記可能な住所の貸し出し」と「郵便物の転送」があります。
それぞれのサービス内容について、簡単に解説します。
登記可能な住所の貸し出し
住所貸し出しサービスは、企業や個人がビジネスや法的手続きのために実際のオフィススペースを借りる必要がない場合に利用されるサービスです。このサービスでは、バーチャルオフィスプロバイダーが顧客に専用の住所を提供します。
バーチャルオフィスから借りた住所は、会社登記や郵便物の送受信、ウェブサイトや名刺に使用できます。バーチャルオフィスプロバイダーは、受け取った郵便物をデジタル化し、オンラインで提供することが一般的です。このサービスは、特にスタートアップ企業や、フリーランサー、リモートワーカーなどが多く利用しています。
バーチャルオフィスの住所貸し出しサービスを利用するメリットとして、次の3点が挙げられます。
- ビジネスの信頼性を高める
- 地理的な条件に柔軟に対応できる
- オフィスレンタルのコスト削減
- プライバシー保護
バーチャルオフィスの住所を使用することで、ビジネスの信頼性や専門性を高めることができます。そのため、実際のオフィスを持っていない場合でもバーチャルオフィスの住所を使い法人を持つことで、取引先からの信頼を得やすくなるでしょう。
また、バーチャルオフィスの住所は場所に依存しません。必要に応じて異なる都市や国の住所を利用できるため、地理的な条件に対しても柔軟に対応できます。具体的には、新規市場への進出やクライアント対応において便利です。
バーチャルオフィスは、実際のオフィススペースを借りるコストや維持費用を削減できる点もメリットといえます。特に、小規模ビジネスや予算が限られている場合に費用対効果が高い選択肢です。
そのほか、プライバシー保護の観点においてもバーチャルオフィスは優れており、個人やフリーランサーが自宅住所を公開せずにビジネスを運営できます。
このように、住所貸し出しサービスは多くのビジネスにとって便利で実用的なオプションであり、コストを節約しながらビジネスを成長させていく上で役立ちます。
郵便物の転送
郵便物の転送サービスでは、バーチャルオフィスプロバイダーが顧客の代わりに郵便物を受け取り、転送します。具体的には、以下のプロセスで郵便物が転送され、受け取ることが可能です。
- 顧客がバーチャルオフィスプロバイダーに個別の郵送住所を指定
- 顧客の名前または企業名が付いた郵便物が到着
- プロバイダーがそれを受け取り、セキュアな場所で保管
- 顧客は通常、オンラインポータルを通じて受け取った郵便物の内容を確認
- 必要に応じてバーチャルオフィスプロバイダーに転送指示を出す
- 受け取り先の住所に郵便物を転送
バーチャルオフィスの郵便物転送サービスを利用するメリットとして、次の2点が挙げられます。
- 地理的な柔軟性に優れている
- プライバシーが守られる
- 業務効率を高める
バーチャルオフィスを持つ個人や企業は、さまざまな場所に郵送住所を所有できるため、ビジネスの地理的な拡張や新規市場への進出をスムーズに行えるでしょう。
また、バーチャルオフィスの住所を用いて郵便物を送受信できるため、上述のように自宅住所を公開することなくビジネスを運営可能です。
そして、郵便物の転送サービスでは、仮想オフィスプロバイダーが郵便物の受け取りと転送を行います。そのため、郵便物の処理に自身で手間をかける必要がなく、業務効率の向上も期待できます。
なぜバーチャルオフィスが怪しいと言われているのか
バーチャルオフィスは低コストで住所を利用できる画期的なサービスといえますが、「怪しいからやめた方がいい」「違法性がある」という噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、バーチャルオフィスを利用することに対する違法性はありません。
では、なぜバーチャルオフィスは怪しいと言われてしまうのかについて、解説します。
バーチャルオフィスを悪用された事例があったため
バーチャルオフィスが怪しいと言われる理由は、以前にバーチャルオフィスを悪用された事例があったからです。
バーチャルオフィスサービスの登場から、住所貸しを悪用したさまざまな詐欺が発生しており、警察庁による2022年の特殊詐欺統計確定値の被害総額は、全国で370億8千万円(前年比88億8千万円)にも上ります。
具体的には、手軽に住所を借りられることから、犯罪者が身分隠しのために利用したり、詐欺業者が投資詐欺などを目的に利用したりするケースが多発していたため、バーチャルオフィスに対するイメージダウンに繋がったのでしょう。
とはいえ、バーチャルオフィスの悪用事例は悪用した側の問題であるため、バーチャルオフィスそのものを利用することに問題はありません。そのため、通常の使い方であれば安心して利用できるオフィスサービスといえます。
安全なバーチャルオフィスを選ぶポイント
バーチャルオフィスに違法性がないとはいえ、さまざまな会社が住所貸し出しサービスを提供していることもあり、どのバーチャルオフィスを選ぶべきか悩んでしまう方は少なくありません。
安全に使えるバーチャルオフィスを選ぶ際は、次の3つのポイントに留意して選びましょう。
- 事業母体となる会社がどこか
- 価格、料金体系
- 利用できる住所
選ぶ際のポイントについて1つずつ解説しますので、ぜひ参考にしてください。
事業母体となる会社がどこか
バーチャルオフィスを選ぶ際、1つ目に気をつけたいポイントは「事業母体となる会社がどこか」です。
提供業者が信頼できる会社かどうかを判断することは、バーチャルオフィス選びにおける最初のステップともいえます。なぜなら、信頼性のある事業母体を持つプロバイダーであるほど、長期的に安定して利用できるサービスを提供し、法的要件を遵守する傾向があるからです。
提供業者の背後にある会社は、そのサービスの品質や信頼性に直結するため、評判や口コミ、業界での実績を調査し、事業母体が信頼できるかどうかを確認しましょう。また、サービス提供地域や言語に関する情報もチェックすることが重要です。
価格、料金体系
バーチャルオフィスを選ぶ際に2つ目に見るべきポイントは「価格や料金体系」です。
料金体系は、利用する際に注意を払うべき重要な要素です。とはいえ、プロバイダーによって価格設定が異なるだけでなく、提供されるサービスの範囲も異なるため、料金に含まれるサービスやオプション、料金の透明性を確認しましょう。
基本料金とは別にオプション料金が必要だったり、契約解除料が発生したりする場合もあるため、価格や料金体系については入念に確認する必要があります。
また、単に安くて安心できるサービスを選べば良いわけではなく、自分のビジネスニーズに合わせて最適な価格とサービスプランを選ぶことが大切です。検討しているプランに必要な機能が含まれているかを確認し、導入効果の高いサービスを選びましょう。
利用できる住所
バーチャルオフィスを選ぶ際に3つ目に見るべきポイントは「利用できる住所」です。
バーチャルオフィスの利点の一つは、異なる地域や都市に住所を持てることですが、全国全ての地域でオフィスを利用できるとは限りません。そのため、どの地域の住所が利用可能かを確認することが重要です。
特定の地域にビジネスを展開する予定がある場合、その地域の住所が利用できるかどうかを確認しましょう。
また、住所のプレステージやアクセス性も考慮する価値があります。都心などの中心地にある住所を提供することができるプロバイダーを利用すれば、ビジネスの信頼性を高めるのに役立つでしょう。
おすすめのバーチャルオフィス5選
ここからは、安心して利用できるおすすめのバーチャルオフィスを紹介します。今回紹介するのは、次の通り。
- DMMバーチャルオフィス
- GMOオフィスサポート
- レゾナンス
- Karigo
- リージャス
それぞれのバーチャルオフィスサービスの特徴について解説します。
DMMバーチャルオフィス
DMMバーチャルオフィスは、合同会社DMM.comが提供するオフィスの住所貸し出しサービスであり、月額660円から利用できます。2021年12月に行われたDMMのバーチャルオフィス会員向けアンケートでは、満足度97%を獲得しており、非常に評価の高いサービスです。
DMMバーチャルオフィスの主なメリットとしては、都内一等地の住所を低価格で利用できるほか、郵便物受け取りや転送で使う会員専用サイトが使いやすいことなどが挙げられます。
一方、郵便物受け取り不可となる荷物もあるため、注意が必要です。運営上の都合により、以下の荷物は受け取りできません。
- 受取時に通関税の支払いが必要なもの
- 現金書留・本人限定受取郵便・内容証明郵便
- 公的・法的に効力のある文書
- 代引商品など
- 危険物・生き物・生もの・クール便・生花、植物
- 郵送基準外のもの・ダイレクトメール等の返信による多量な郵送物
- 規定サイズを超えているもの(3辺の長さの合計が120cm以上、15kg以上のもの)
- ゆうパック・ゆうメール・ゆうパケット・ヤマト宅急便以外の着払い
- 登録のない名前(法人名、個人名、屋号含む)や、名字のみなど契約者名の判別ができないもの
- その他、弊社で郵送が困難だと判断したもの
引用:トップ>サービス一覧>郵便物に関して|DMMバーチャルオフィス
そのほか、法人銀行口座の開設サポートも充実しており、DMMバーチャルオフィスは以下の銀行の法人銀行口座の開設実績を持っています。
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- りそな銀行
- ゆうちょ銀行
- 住信SBIネット銀行
- 楽天銀行
- PayPay銀行
- GMOあおぞらネット銀行
DMMバーチャルオフィスの基本情報については、以下の通りです。
住所レンタルが可能な地域 | 銀座・渋谷・大阪梅田・福岡天神・名古屋 など |
プラン料金 | ・ネットショップ支援プラン:660円〜/月・ビジネスプラン:2530円〜/月・ライトプラン:1,650円〜/月 |
サービス一覧 | 住所貸し・法人登記・特商法表示・郵便物転送・AI電話代行、転送・電話番号付与・HP作成・補助金相談・転送カスタマイズ・宛名追加・銀行紹介・法人カード紹介 など |
運営会社 | 合同会社DMM.com |
参照:DMMバーチャルオフィス
GMOオフィスサポート
GMOオフィスサポートは、東証プライム上場企業グループが運営するバーチャルオフィスサービスで、月額月額660円から利用可能です。2023年8月現在では、新規契約特典として初年度の基本料金が3ヶ月間無料になるプログラムを実施しています。
GMOオフィスサポートはサービス開始からたった1年で8,000ユーザーを突破し、現在全国で13箇所ものオフィスを展開している人気のバーチャルオフィスサービスといえます。
主なメリットとして挙げられるのは、業界最大手のグループ企業が運営しているため移転のリスクが低いことや、最短当日に審査完了となる審査の速さなどです。また、GMOオフィスサポートはGMOあおぞらネット銀行と提携しているため、法人口座の開設も容易に進められます。
また、利用できるサービスが豊富なこともメリットの一つです。一般的なバーチャルオフィスサービスにある住所貸し・郵便物転送のほか、郵便物の写真をマイページでお知らせする「写真でお知らせ」、MonerForwardクラウド会計やfreee会計などの「会計サービス提供」、法人登記に必要な印鑑作成をサポートする「電子印鑑サービスGMOサインの紹介」などがあります。
GMOオフィスサポートの基本情報については、以下の通りです。
住所レンタルが可能な地域 | 渋谷・新宿・銀座・青山・目黒・秋葉原・横浜・名古屋・大阪(梅田)・京都・神戸・福岡(博多)・福岡(天神) |
プラン料金 | ・転送なしプラン:660円〜/月・月1転送プラン:1,650円/月・隔週転送プラン:2,200円/月・週1転送プラン:2,750円/月 |
サービス一覧 | 住所貸し・郵便物の写真お知らせ・即時転送・宛名(屋号等)の追加・速達、簡易書留・不在票通知・銀行開設申込・事業計画書フォーマット提供・会計サービス提供・電子印鑑紹介・ドメイン、メールアドレス提供・固定電話番号案内・貸しワークスペース案内 など |
運営会社 | GMOオフィスサポート株式会社 |
参照:GMOオフィスサポート
レゾナンス
レゾナンスは、株式会社ゼニスが運営するバーチャルオフィスサービスで、月額990円から利用できます。2023年現在は、10月31日まで全てのコースの月額料金が3ヶ月無料になるキャンペーンを実施しています。(1年払いコースの契約に限る)
レゾナンスでバーチャルオフィスを利用するメリットとして、都心一等地の住所を格安で利用できる、最短即日で審査が完了開始できる、プランやオフションが豊富であることなどが挙げられます。
さらに、みずほ銀行・GMOあおそらネット銀行・住信SBIネット銀行の3つの銀行との連携により、法人口座の開設紹介にも対応しています。口座開設には審査が必要ですが、手続きをスムーズに進められる点において、メリットは大きいでしょう。
また、レゾナンスの住所を使って起業する場合は「レゾナンスのスマホde会社設立」サービスを利用できます。当サービスでは、法務局に行かずにスマホで会社設立に必要な書類を作成可能であり、登記申請の書類作成にかかる費用は5,500円のみです。
会社設立に役立つサービスが充実しているため、登記を考えている方は利用を検討してはいかがでしょうか。
レゾナンスの基本情報については、以下の通りです。
住所レンタルが可能な地域 | 浜松・青山・銀座・日本橋・渋谷・新宿・横浜 など |
プラン料金 | ・格安バーチャルオフィス:990円〜/月・格安バーチャルオフィス+格安転送電話サービス:3,190円〜/月・格安バーチャルオフィス+格安電話秘書代行サービス:5,390円〜/月 など |
サービス一覧 | 住所貸し・電話転送・電話秘書代行・内線取次・貸出し番号発信・貸し会議室 など |
運営会社 | 株式会社ゼニス |
参照:レゾナンス
リージャス
リージャスは、日本リージャスホールディングス株式会社が運営するサービスであり、バーチャルオフィスのほか、レンタルオフィスやコワーキングスペース、時間貸し会議室などのサービスを提供しています。
バーチャルオフィスサービスでは、全国170拠点以上の住所を利用でき、世界で見ると120か国3,000以上の拠点を所有しています。都心一等地に限らず、地域に密着したビジネスを展開する際などは、地方の住所を使って法人登記できるため、より幅広いビジネスの展開に役立てられるでしょう。
会社の住所は取引先に大きな影響を与える要素の一つであるため、ビジネス形態に合わせて自由に拠点を選べることは、大きなメリットといえます。
また、リージャスのバーチャルオフィスサービスは4種類のプランから選ぶことができます。
- メールボックス・プラス:住所貸し・郵便物受け取りのシンプルなプラン
- テレフォンアンサリング:専用の電話番号が発行され、有料で受取代行も可能
- バーチャルオフィス:メールボックス・プラスとテレフォンアンサリングを合わせたプラン
- バーチャルオフィス・プラス:バーチャルオフィスプランに加え、個室オフィスを月5日まで利用可能
このようなサービスから選べるため、会社の目的に合わせて適切なプランを活用できます。
リージャスの基本情報については、以下の通りです。
住所レンタルが可能な地域 | 東京・大阪・名古屋・札幌・青森・千葉・横浜・仙台・京都・神戸・岡山・広島・博多 など |
プラン料金 | 丸の内パシフィックセンチュリープレイスの場合※住所によって料金が異なります。 ・メールボックス・プラス:21,200円〜/月・テレフォンアンサリング:13,700円〜/月・バーチャルオフィ:34,800円〜/月・バーチャルオフィス・プラス:50,000円〜/月 |
サービス一覧 | 住所貸し・郵便受取・電話番号利用・オフィス利用・メンバーシップ |
運営会社 | 日本リージャスホールディングス株式会社 |
参照:リージャス
まとめ
本記事では、バーチャルオフィスの利用を検討している方向けに、バーチャルオフィスの危険性や選び方、おすすめのサービスなどを紹介しました。
「バーチャルオフィスは危険」と聞いたことがあるかもしれませんが、手軽に住所を利用できるが故に住所を悪用される事例が多かったことが原因であり、悪用する側に原因があるといえます。そのため、通常の目的でバーチャルオフィスを利用することは問題ないため、安心して住所を利用できるでしょう。
今回の内容を参考に、自社に最適なバーチャルオフィスを利用してみてください。